「子どもが読書好き」というのは親が子どもに望むことトップ3に入るんだそうですよ。
でもその気持ち、わかります。
子どもには良い本にたくさん触れてほしいし、読書の効能は大きな魅力です。
とはいえ、自分から読書が好きになる子ばかりではありませんし、好きでもないのに読ませようとしても逆効果です。
「子どもには子どもの世界がある。子どもが望むように大きくなればいい」という考え方が子どもにとっての最善だとしても、読書がもたらす恩恵を早々に放棄してしまうのはもったいない…ですよね。
そこで重要なのが、「子どもにどうやって本を読ませるか」ではなく、「子どもにどうやって読書を好きになってもらうか」という働きかけです。
この記事では、子どもが本を読むことが好きになる具体的な方法と本を読まない子どもに見られる3つの状況への対処法についてお伝えいたします。
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本好きにするためにまずすべきこと
本好きになればいいことがあるとわかっていても、今の目の前の子どもの状況を見ると、それは「無理そう」「骨の折れる仕事」と感じてしまうかもしれませんね。
なぜそう思うのでしょうか。
それは、子どもが嫌がっていることをしようとしている、あるいは押し付けようとしていると感じるからではないでしょうか。
それはその通り!嫌なことを押し付けられたら誰だって嫌なものです。
子どもだったら尚更で、さらに本が嫌いになってしまうかもしれません。
だから、子どもが本を「好き」になるためには、まず本を読むことは「楽しい」と感じる必要があるのです。
では、どのようなアプローチをしたら子どもが楽しいと感じられるのでしょうか。
子どもの好きな遊びは何かを考えよう
読み聞かせの本にも、子どもが楽しいと思っていることを上手に取り入れて、興味を持たせやすくしましょう。
まず、「どんな本を読むか」を考える前に注目すべきは、「子どもが何に興味を持っているか」です。
普段の会話や遊び方などから、お子さんがどんな本なら楽しめそうか考えてみましょう。
もし、特定の好きなキャラクターや分野、例えば「動物」「ロボット」「恐竜」「お姫様」などがあれば、それは使える要素ですね。
遊び方はどうでしょう。
「役になりきって遊ぶ」のが好きなら、ヒーローやヒロインに思いを重ねて楽しめる空想の物語が楽しめるかもしれません。
アクティブな子なら、動きのあるお話・躍動感あふれるお話がいいでしょう。
実際に自分が本と関われる、参加型の仕掛け本も楽しめるかもしれません。
「木登り」が好きなら、「おおきなきがほしい」のような主人公と気持ちを共有できる本に興味を持つかもしれません。
世の中で名作とされている本や親が読んであげたい本は、ひとまず後にして、まずは子どもが楽しめそうだと思う本を探すために、子どもが興味のあることを把握しましょう。
今までの「本を読む」という概念を捨てよう
子どもを本好きにしたいと思っているお母さんなら、すでに色々な本を試されているかもしれませんね。
その上で、子どもが本を拒否するような状況があるのなら、どこかで間違ったアプローチをしてしまったのかもしれません。1度ゆっくりと時間をかけて、読み聞かせに対する印象を変えてあげる必要があります。
「本好きにする」と聞くと、「本を読む」ことが欠かせないように思ってしまっていませんか?
もちろん最終的には、本を読むことが好きになることを目指します。
でもまずは、読み聞かせのスタイルに慣れること、それを子どもが心地よく感じることを目指すところから始めるのがいいでしょう。
そのためには、読むものが本である必要もありません。
「お母さんのお膝に座って、一緒に何かを見る」という行為が心地よく感じられたらいいのです。
「何か」は、子どもが興味を持ちそうなもの、例えば新聞に挟まっている中古自動車やスーパーのチラシを広げて、何を買うか・好きなものはどれか・どれが安いか、高いかなど、絵や文字に注目して話すのも1つの方法です。
ほかにも子どもが幼稚園で描いてきた絵を見ながら、何を描いたのか・描いた時の様子・絵のテーマに関連する話に広げてあげるなど、会話を楽しむことができますね。
チラシだって、1枚の写真や今月のカレンダーだって構いません。描かれているものに注目して話をしてみましょう。
その時間が楽しければ、子どもも嬉しい気持ちになります。
5分くらいの短い時間でも構いませんので、夕食後・お風呂の後など時間帯を決めて、毎日できるといいですね。何もない時は手遊びやしりとりなどでもいいでしょう。
そして徐々に、お母さんの膝に乗ったお話タイムの題材を本にシフトしていけば良いのです。
本を読まない3つの状況別に見る対処法
読み聞かせの時間を楽しくするために、子どもの状況次第で、本を読むより先に、しておくべきことがわかりましたね。
それでは次に、実際の子どもの状況に応じてどんな対応ができるのかを見ていきましょう。取り上げるのは次の3つです。
- 絵本の話に興味を持たない
- 集中力がなく最後まで聞かない
- 本よりテレビや動画を見ていたり、ゲームばかりしている
①から順に見ていきましょう。
⒈お話に興味を示さない時は本のジャンルを変えてみよう
お話を聞きたがらない。全然興味を示さない。
本の読み聞かせでは物語本が定番ですが、そんな状況があるなら、ファンタジーのお話に感情移入しづらいのかもしれません。
1度、物語ではなく、ドキュメンタリーや科学的な本を試してみましょう。
例えば、「あなたのいえ わたしのいえ」のような、家の役割について考える本などはいかがでしょうか。
そういった事実に基づいた知的欲求を満たす本にも興味が持てないなら、お話ではない本を選んでみましょう。
写真がずらりと並んでいるカタログ本や図鑑だって立派な本です。子どもが興味のある分野から選んでみてください。
お母さんとの会話を楽しみながら関われる本から始め、徐々に興味のある分野の文字の少ないお話の本を取り入れるようにしてみましょう。
また、じっくりお話を聞くのは好きではなくても、数え歌や文字遊びは楽しめるかもしれませんよ。自分でも声を出して言ってみることができるので子どもを飽きさせません。
絵を描くのが好きな子にオススメな本作り
絵を描くのが好きなら、その絵にお話をつけてあげてはいかがでしょうか。
もちろん、話は子どもに考えてもらいますが、スムーズに話が出てこないなら、お母さんと相談して作れば楽しくできます。
子どもが話す内容をお母さんが書き取ります。自分で書きたい子には書かせてあげても構いません。
大きな絵を何枚も書いて、紙芝居風にしても、小さな絵を束ねて絵本にしてもいいですね。
それを読み聞かせの本に使います。
既成の絵本に興味が持てなくても、自分が作った本なら愛着も湧き、それをお母さんが読んでくれる嬉しさもあり、読み聞かせの時間も好きになりますよ。
⒉子どもが話に集中できない3つの原因と対策
本人の希望で読み始めたのに、途中で立ち上がってしまったりして最後まで聞いてくれない。
そんな子どもの集中力が続かない原因は3つ考えられます。それぞれの対策と一緒に見てみましょう。
まず1つ目の原因は、話が長すぎることが考えられます。
子どもの集中力に対して、話が長すぎると途中で話を聞くのに飽きてしまいます。
読み初めはちゃんと聞けていただけに、もったいないですね。
最後まで興味・集中力を持続できる、少しボリュームを落とした本を試してみましょう。
2つ目の原因は、子どもの興味に合っていないことが挙げられるでしょう。
題材だけでなく、語り口も大切です。挿絵を注意深く見るのが好きな子もいます。
子どもが面白いと思うツボはそれぞれ違うので、自分の子どもが興味を示すポイントにぴったり合った本を探しましょう。
最後の3つ目の原因は、子どもの理解度に合っていないことを疑ってみましょう。
本で使われている表現や語彙が難しく理解できないために、感情移入しづらいのかもしれません。
「年齢に対して内容が簡単すぎるのではないか」と一般的尺度で本を否定するのはナンセンスです。子どもが楽しく読める・聞けるなら、その子にとっての良本です。
子どもの言語レベルに合わせた本を選びましょう。
子どもの遊び方が多様であるように、子どもが興味を示す本もそれぞれ違って多様なのです。
淡々とした語り口のお話でもじっくり耳を傾けられる子もいれば、どんなにクライマックスが面白くてもそこまで待てない子もいます。
子どもの反応の傾向や集中力・興味の対象・語彙力などその本を読みたがらない原因は複数混ざっていることもあります。
今読んでいる本は立ち上がってしまっても別の本なら楽しめる場合もありますので、無理をせず、子どもの様子をよく見て、短めの本から試してみましょう。
⒊テレビや動画・ゲームの時間を興味のある知育映像に置き換えよう
テレビや動画は悪いわけではありませんが、長時間見続けると自分で考えることをしなくなる、いわゆる思考停止状態になってしまいます。
ゲームもよく考えられた頭を使うものもありますが、中毒性もあるので注意が必要です。
でも、すでに生活の中に映像を見る習慣があるなら、その時間を上手に使って本に誘導していくといいでしょう。
子どもが楽しんでいるものを、全てなくす必要はもちろんありませんが、惰性で見てしまっているテレビ番組や、やめ時がわからなくなっているゲーム時間はありませんか?
テレビは子どもが絶対見たいものに絞る・ゲームは時間で区切るなど子どもとよく話し合ってルールを決めましょう。
そして、その代わりに乗り物や動物など知育的な内容の動画を見せてはいかがでしょうか。
映像で興味を持ったあと、関連する本を見ると、本にも興味を持ちやすくなります。
例えば、「昆虫図鑑」のDVDで虫の生態について見たあと、虫の擬態について書かれた本で虫探しをしてみることなどができます。
本の楽しさに気づけば、子どもも自分から本を開くようになります。
流れてくる映像をただ眺めているだけという時間は、できるだけ作らないようにしたいですね。
まとめ
読み聞かせはお母さんとのスキンシップが取れるので、子どもの情緒が安定しやすくなる効果もあります。
まずは読み聞かせのスタイルを習慣づけ、徐々に本を読むことにつなげていけるといいですね。
好きな本が見つかったら、そこから本の面白さも発見でき、次の本への意欲も出てくるでしょう。
まずは、大好きな1冊を見つけましょう。
子どもの興味・性格に合わせた楽しい読み聞かせの時間が、子どもを本好きへと導きます。
なんでこんなに本を読むのを嫌がるんだろう?