海外育ちの子どもの日本語学習|国語ドリルの使い方のコツ

ママ
子どもにちゃんとした日本語を教える自信がないからドリルは助かるわ
でもドリルやるのあんまり好きじゃないのよねぇ

海外で子育てをしていれば、子どもに日本語を教えるのはお母さんである場合が多いですよね。
でも、日本で国語として当たり前に習得していた日本語を、いざ自分の子どもに教えなければならなくなった時、「あれ?どうしよう…」と困ってしまうこともあるでしょう。

そんな時に、何をすべきか教えてくれて、「その年齢で必要な日本語」を体系的に学べる国語ドリルはとても魅力的に見えます。

でも、扱い方に気をつけないと、子どもに「日本語を勉強するのは大変」「お母さんに叱られるし、日本語は嫌い」と日本語学習に対してネガティブな気持ちを持ってしまう危険性があります。

この記事では、そのような危険を回避するためにも、ドリルを使う時の注意点とメリットについて考えてみたいと思います。

ドリルで新しいことを勉強しない理由

まず、ドリル学習で押さえておきたいのは、「ドリルを新しく習う勉強に使わない」ということです。

国語の教科書にはちょうど良い難易度の読み物が掲載されていますし、単元ごとに学ぶべき文法についても触れています。
ですが、子どもに学ぶべきことを考えさせるためには「適切な問いかけ」が必要です。

でも指導のプロではない親が、学校の先生のように学ばせたいポイントを教科書から拾い上げて、子どもに考えさせる問題を出していくのは難しいですよね。

そこで、学ぶ内容がコンパクトがまとめられていて、的確に文法を問う設問が用意されているドリルは使い勝手も良さそうに思えます。
そこで、ついドリルを使って新しいことを教えようと思ってしまうかもしれませんが、それはNGです

ドリルは反復練習を目的にした教材ですので、子どもが自主的に「やりたいっ!」と手に取る学習ではない家庭がほとんどでしょう。
その上、その内容がわからない物ばかりだったら、さらにやる気が削がれ、内容にも興味が持てず退屈に感じてしまします。

逆に、自分で「解ける」「わかる」問題が多ければ、そこに楽しみも出てきます。

特に、淡々と取り組む学習では、この「自分で出来た!」と感じる体験がやる気に直結しますので、ドリルは、「すでに話し言葉として使えているな」と思えるレベルのものに取り組むといいでしょう。

焦っても何も良いことはないので、「難しそう」「まだ早い」と判断すれば、学年を落としたものを使えばいいのです。

少し考えれば解けるものは、ゲーム感覚で楽しく取り組めます。
「楽しい」ことは日本語学習継続のための大切なポイントです。

さあそれでは次に、国語ドリルがどんなことに役に立つかを見ていきましょう。

国語ドリルの役割

国語ドリルには、「漢字」「文章読解」「文法」など種類が色々ありますが、ここでオススメしたいのは、文法ドリルです。

その理由は、漢字は文法のドリルの中でも触れられますし、読解力は文章読解の問題を解かなくても本を読んだり算数の文章題を解いたり、他の活動の中でも身に付けられるからです。

それに対し、文法は体系的に学ばせるのが難しいので、文法力そのものを伸ばすことを目的としているドリルが役に立つのです。ひと通り必要な日本語のルールが載っているドリルをガイド役として使えば、学習がスムーズに進められます。

とは言え、漢字や読解のドリルはやってはいけないという訳ではありません。漢字ドリルや長文読解ドリルが、学習の目的を達成するために合っていれば、必要なものを取り入れていけばいいでしょう。

ドリルは目的を持って取り組むことが大事です。
何を身に付けさせたいのか」「ここからどんな学びを得るのかを予めよく考えて取り組むと、ただやらせるだけになりません。

さて、海外在住の子どもたちにとって、この「文法ドリル」には3つの役割があります。

  1. 理解の確認
  2. 思考の整理
  3. 文法把握

それでは、順にその内容を見ていきましょう。

1.理解できているか確認する

「話しているだけでは見つけづらい子どもの課題」「会話では取り組みづらい内容に対する理解度」をドリルで発見・確認して、誤った理解・曖昧な理解があれば正していきます。

お母さんが「それぐらい知っているだろうな」と思っていることが、子どもは実はよくわかっていなかったり、間違って覚えていたりすることはよくあります。

  • 「てにをは」の使い方
  • 「い」抜き・「ら」抜き言葉
  • 「キャラメル」「チューインガム」など普段あまり使わないカタカナ表記
  • 「少しつ」「おとと」など「づ・ず・を・お・う」といった同音の言葉の文字表記
  • 「です・ます」調の使い方

ドリルに取り組むことで、このような言葉の使い方を、どの程度わかっているか把握できます。

また、「質問が理解できるか」「問われたことに的確に答えられるか」という読解力についても知ることができます。

2.思考を整理する

設問に答えるということは、論理的に筋道を立てて考える作業です。
また「どうしてそう思うのか」「なぜそうなのか」と、問いに対して自分の考えをまとめる作業でもあります。
解答するには自分の考えを言語化しなければいけません。

例えば「まず」「そして」「次に」「最後に」という順序を表す接続詞を問う設問では、文章の空欄にふさわしい選択肢を選ぶ過程で、「なぜその接続詞がそこに入るのか」を頭の中で考えますよね。

1番初めだから、ここに入るのは「まず」だね。

考える過程が、知っていることを論理的に整理する作業にもなるのです。

3.普段使っている日本語を文法的に捉える

ドリルを使って系統立てて学習すると、普段何気なく習慣的に「使っていること」「知っていること」を文法的に捉え直すことができます。

例えば、「こそあど」言葉は、子どもが小さい頃から「これ何?」「あれ見て」と慣れ親しんで使っている言葉です。ですから、今まで使っていた感覚から、設問に対して正解を導き出すことができます。
でも「これ」「あれ」「それ」「どれ」という言葉がそれぞれどのような状況で使われるべきかといった「こそあど言葉」そのものを問う問題を解く過程で、「この犬」と言う時と「あの犬」と言う時の違いや使い方を系統立てて明確に区別します。
そして、日本語のルールとして知識化するのです。

要するに、今まで使っていた日本語を文法的に捉え直し、知識として体系化するということです。

日本語を文法的に理解するメリット

日本語能力として「聞く」「話す」能力と「読む」「書く」能力とでは、必要とする言語力のレベルが大きく違います。
そして「話せる」から「書ける」というレベルに持っていくときに、文法知識は大いに役に立ちます。

なぜなら、文法は文章を組み立てるためのルールだからです。
感覚的になんとなく使っている日本語が、体系化された文法知識で整理されれば、書かれる文章が適切に表現され、伝わりやすくなるのは当然のことですよね。

ぼくの飛行機速いんだよ、すっごく。ジェット機だもん。ビューンって。ほら飛んでるよ!

このように、会話では「話したいこと」「思いついたこと」から口に出しても、相手に言いたいことをちゃんと伝えることができます。
「何が」「どんなだ」「どのくらい」「なぜ」といった伝わるための情報は入っているからです。そして、それが語られる背景もわかっているし、わからなければ質問もできます。

でも、書き表される文章は、情報以外にも語順・助詞の使い方などの文法ルールに則って書かれないと伝わらないことも多くなります。
なぜなら、文章背景を含め、全ての情報を書かれた文章から理解しなければならないからです。

そして「書く」ためには、その内容を客観的に把握していなければ書けません。
そこで、文章化される過程で、言いたいことを整理し書き言葉に変換するのです。

子どもにとって、この変換は難しく、言いたいことはたくさんあったのに書いたら言葉が出てこなかったり、逆にダラダラと長たらしい文になったりします。
「話し言葉」から「書き言葉」への変換がスムーズにできるようになると、言いたいことをまとめる力もつき、話し言葉も整理されるようになります。

そして、文法のルールが分かっていれば、文章の意味を読み取る読解力も底上げされるのです。

文法習得も含めた日本語学習への取り組み方を考えていくのは大変ですが、「読み書き」ができるレベルで日本語を習得する上で、それは重要なことなのです。

まとめ

子どもたちに文法を系統立てて教えるのは、国語の先生ではありませんし、なかなか至難の技です。

そんな時に国語ドリルは手軽で役に立ちます。

でも、いつでも心に留めておきたいのは、「お母さん」が学ばせたいことではなく、「子ども」が今必要なこと・ぴったりなレベルを学習するという意識でいることです。
日本の学年で言えば2年生だからといって、そこにこだわるのはナンセンスです。

私たちの子どもは海外で暮らしています。日本語学習においては不利な環境です。そして子どもたち1人ひとり特質が違って、興味の持ち方・得手不得手もそれぞれです。言語においてもそれは同じです。一般基準や他の子との比較をすることなく、その子に合った進め方を見つけていきたいですね。

自分の子どもの言語発達レベル・学びやすい勉強スタイルに合わせて、楽しみながら日本語学習を支援していきましょう。

我が家の娘は、この記事で紹介した「くもんの小学ドリルシリーズ」に取り組んでいます。
1ページに対する問題量が少なく、また基本的な問いになっているので、普段日本語の問題を解き慣れていない娘にとっては、ちょうど良いレベルなのです。時折り設問の意味がわからない時もありますが、一緒に読み解いていけば理解できます。

小学1年生から6年生まで学年ごとに出ており、Amazon楽天でも気軽に購入できますので、気になる方は試してみてくださいね。

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