海外在住の子どもにも漢字の書き順を教えた方が良い理由

ママ
海外に住んでいて、漢字の書き順までやる必要あるの?

書き順まで教えるの面倒だなぁ

海外に住んでいると、子どもの漢字学習を「書けるようになれば、書き順なんてどうでもいい」って思いがちですが、でも書き順って理にかなっていて実はとても役に立つんです。
それを実感したのは、チェコ人の夫が漢字を書いている時。あらぬ所から書き始め、線は足りているけど完成形はなんか歪。。。
その時思ったのです。「その理由は書き順にあり!」と。

この記事では、漢字習得をよりスムーズにするための書き順の役立て方について考えてみたいと思います。

漢字の書き順を教える利点

漢字を使う機会の少ない海外に住む家庭内でも、子どもに書き順を教えた方が良い理由について考えてみましょう。

夫の例をお話ししましたが、これは漢字を書き始めた子どもも同じなんです。初めて見る漢字を、お手本を見ながら紙に書かせると、あらぬ所から書き始め、とりあえず形をコピーしようとします。

それは漢字を図形のように捉え、書きやすそうな所、注目した所から書き始めているためです。でも膨大な数がある漢字をそのように規則性なく覚えて書いていくのは、あまり効率の良い方法ではありませんよね。

特に数も増え、形も複雑になってくる3年生以上の漢字も習得させたいと考えるなら、初めは面倒に感じても、書き順を伝えながら漢字を習得させた方が結果的には得策となります。
その理由は2つあります。
1つは、漢字は基本的な漢字の組み合わせで、書き方のルールを知ると書きやすくなり、字が綺麗になるから
そしてもう1つは、漢字を覚えやすくなるからです。

漢字は組み合わせたパーツのバランスが大切

美しく漢字を書くのに大切なのは、文字構成のバランスです。

漢字は基本の漢字・部首を1つずつのパーツとして使い、そのパーツを組み立てて作る文字です。書き順は文字を上手く組み立てるための順番を知るのに使います。

これは、漢字を書き始めた頃の娘の字です。

1マスに1文字書くことは認識していますし、「川」という字はちゃんとマス内に収められています。
しかし、「貝」「花」「草」といったパーツを組み立てて書く漢字は、見事にパーツの数だけマスを使って書いています。

これらの漢字は上下の構成なので、組み立て順は難しくありません。ですが、どこにどのように書いたら、マスに収まる整った字になるかわからないので、順番に必要なものを書いていったら、はみ出してしまったのです。

元気いっぱいで微笑ましくはありますが、少しずつ書くことに慣れながら、練習する必要がありますね。

そこで、文字を書く時の運筆の仕方やリズムに慣れ、バランスよく整えられるまで、次のような取り組みをしましょう。

  1. 主に1年生で習う、パーツとなる漢字の書き順を覚える
  2. 漢字を構成するそれぞれのパーツの、組み立てる順番を覚える
  3. パーツが漢字の一部になる時の形や位置を覚え、バランスよく組み立てる
補足1書いて覚えるのは非効率的なので、書かずに指で空書きしたり、書く様子を頭の中でイメージしたりして記憶します。実際に書いてみるのは覚えてしまってからにしましょう。
補足2正しいパーツの位置確認手慣れのためには、手本を見ながら書く「写し書き」も有効です。書き順を押さえた後で、写し書きをさせても良いでしょう。ただし何度も同じ文字を書く必要はありません。

基本の漢字を覚えていく中でこの作業を繰り返し、配置のバランスも一緒にパターンとして記憶します。
すると、新しい漢字に出会った時にそれまでに覚えたパターンを応用して、新しい漢字に適用できるようになります。

書き順は漢字を記憶するのにも役に立つ

書き順を覚えることは、なぜ漢字そのものを記憶するのにも役立つのでしょうか。

例えば記憶の「記」の字を見た時、すぐさま「言偏」に「己」と書くと認識します。どちらの文字も知っていて、書き順が押さえてあれば、手の記憶であっという間に再生できます。「憶」の字も同様です。「立心偏」に「立」「日」「心」で書くことができます。どれも難しい漢字ではありません。あとはそれらをどう組み立てるかだけです。

そしてそのようにパーツで分解して組み立てて書けるようになった時、漢字を図形として認識するのではなく、意味のある言葉のパーツの組み合わせという認識になります。覚える数が増え、画数が多く複雑に見える漢字でも「知っている漢字の組み合わせ」として認識できれば、覚える労力が格段に少なくて済むのです。

覚えた方が良い「書き順のルール」

書き順にはルールがあります。そのルールが身についてしまえば、漢字を書くのはそれほど面倒ではなくなります。

横画は必ず左から右へ
上から下へ
横画からの縦は1画で
外の囲みが先
真ん中→左→右
点は最後
十字は横が先
串を刺す画は最後
にょうは最後
左側から
上から
外側から

上記は一例で、例外となる漢字もありますが、このような基本の書き順を押さえておくだけでも字形を整えて書くことに役立ちます。そして、いつも同じルールに則って書いた方が、記憶の再生も楽になるのです。

基本的な漢字が書けるようになるまでは書き順に気をつけさせよう

書き順を意識して書くことは、「字形を美しく整える」「漢字を記憶する」ために役立つことがわかりました。

簡単な漢字だからと触れずにおくと、漢字学習が進むにつれ、修正するのが難しくなったり、子どもが面倒に感じたりしてしまうので、初めから意識して取り組むといいでしょう。

基本的な漢字を書く手順が記憶に定着してしまえば、自然と手が動くようになり、書くこともになります。
それまで少し時間がかるかもしれませんが、じっくり頑張ってください。

ただ大切だからといって、神経質になり過ぎて「ほら、書き順が違うっ!」といちいち叱りながら書かせていたら、子どもも嫌になってしまいます。
ですので「絶対にこうするもの」ではなく、「書きやすくなる方法」「覚えやすくなる方法」くらいの認識にしておくと良いかもしれません。

子どもには、書き順が間違っていたら指摘し、次にできたら「良い書き順だと綺麗にかけるね」と認めて褒めてあげられるといいですね。

大人にとっては簡単な漢字でも、子どもにとっては初めてのことで、難しく感じるものです。「一度にたくさんやろう」と欲張らず、ゆっくりコツコツ取り組んでいきましょう。

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